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第93回二科展(2008)     彫刻部 入選作品

主役は一輪のバラです。

薔薇をモチーフにした作品に仕上げるため、「愛」「告白」「恋焦がれる」「情熱」などの薔薇の花言葉からイメージを膨らませていくと…「告白をしたいのに行動に移せない片思いの男」の姿を連想できました。


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秘めた想いと躊躇する感情を表現した「薔薇を差し出す骨だけの右腕に、だらりと垂れ落ちる腕から剥がれた皮膚」という右腕だけの部分的なイメージ画を思い浮かべたのですが、生花を眺めながらシーンを想像し、スケッチを描いているうちに「薔薇の花をみつめ自分の想いと向き合う【恋に悩めるひとりの男】」の姿に構図がまとまっていきました。


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内面(想い)を表現するため姿は骨だけで構成され、内側に傾斜させた薔薇をそこにあるはずの頭に覗かせたことで、薔薇を引き立てる器として成り立ち、しゃがみ込んだポーズをとらせたことが哀愁をも感じさる物語までを想像させてくれます。

彫刻という分野の知識は全く無く「何をつくれば良いのか?」解らぬまま作りあげた「骨」だけの姿は、余分なものを削ぎ落とした存在感ある作品として完成させることが出来ました。