第83回国展(2009) 彫刻部 入選作品
子供の頃に飼っていたインコが篭から逃げ出したときのことを思い出しました。
それは、大空を自由に飛び回ることができるチャンスを手に入れた筈のインコが、篭の高さより上では飛べない不思議な姿であり、飼い慣らされた鳥は自然の中では生きてはいけないという哀しい記憶でした。
「飛べない鳥っていうのは…篭の中で飼育された鳥だろうか?」
そんな感覚が私を襲ってきました。
人間の肋骨を鳥篭にみたて、皮膚のカバーで被った鳥篭という作品は、「私は篭の中の鳥なのか? それとも鳥篭そのものなのか?」そんなことを問いかけた作品なのかも知れない。
背中に翼があったとしても、飛べる保障なんてあるのか判らないのですから。
・・・私という篭の中では、いったいどんな飼育がされているのでしょう?